東京都代表浅草中と対戦　
　　　－関東大会 ２回戦 ＠巣鴨中･高等学校－
８月９日（月）、会場を巣鴨･高等学校の体育館に移して男子バレーボール部の関東大会２回戦が行われました。対戦相手は、東京都代表の浅草中学校です。激戦区を勝ち上がった強豪校です。
試合開始前に顧問の先生と話をしている中で、腰痛のため前日の試合で十分力を発揮できなかったエースの状況がよくなっていなかったため、この日は試合に出さないということを聞きました。これまでチームを支え引っ張ってきたエースを欠いて強豪校と対戦するということで、意気消沈してしまっているのではないかと心配しました。出場できないエースが、試合前の練習を、ボール拾いなどのサポートをしながら、不安そうに、申し訳なさそうに見ている姿を目にして、彼にかける言葉を見つけられませんでした。
しかし、チームメイトたちは、いつもより大きな声を出し、真剣に、眼をギラギラさせて、試合の最中のように練習に取り組んでいました。
　　
　　
試合直前に円陣を組んで大きなかけ声で気合いを入れコートに入ると、セッターがもう一人のエースとエースの代わりにコートに立った２年生に熱くコーチングをしていました。サーバーのバイスキャプテンは、自分の気持ちを込めるようにボールを見つめてサーブに入りました。
　　
いつものエース対角ではなく、エースのポジションに入ったこの日のエースが魂を込めたアタックで2枚ブロックを打ち抜き、代わりにエース対角に入った２年生が渾身のサーブを打つ。相手の攻撃に対しては、相手に比べて身長では劣っているはずですが、全力でブロックに跳ぶことで、相手アタッカーにプレッシャーを与えます。
　　
一人一人が自分のできることに全力を注いでいるのがよく伝わってきました。これまでチームを引っ張り支えてきてくれたエースのために･･･という想いが伝わってきます。「いいチームになってきたなぁ･･･」カメラのファインダーをのぞきながらそう呟いている自分に気づきました。
　　
練習がきついと月曜日は毎週のように保健室に来ていたセッター、チーム全体に大きな声をかけ、自分から率先して動いている。力はありながら優しい性格のためか弱気な面が出やすく思い切ったプレーが少なかったエース対角が、闘志を漲らせて打ち抜いている。
　　
エースの代わりに入っている2年生に声をかけ続け勇気づけ、たとえ1枚になっても全力でブロックに跳び続けるバイスキャプテン。
　　
必死で頑張り続けるチームメイトを、申し訳なさそうに見つめるエース。そのエースにそんな気持ちを持たせないようにさらに頑張るコート上の選手たち･･･。
それでも、体格と地力に勝る浅草中に第1セットを奪われてしまいました。
　　
すると、第2セットは腰痛のエースをコートに入れました。大丈夫か？心配になりましたが、コート上の選手たちが私のそんな不安を払ってくれました。第1セット以上に気合を入れた選手たちは躍動しました。「お前はそこにいてくれるだけでいい！」まるでそう言っているかのようでした。セッターはエースにトスは上げません。リベロはエースの守備範囲までカバーします。2年生の選手たちも必死にプレーをしました。
　　
なんと、第2セットは深中が浅草中をリードする展開となりました。
　　
　　
　　
この試合は、顧問の先生の声があまり聞こえませんでした。先生に言われて動くのではなく、コートにいる選手一人一人が自分で考え動き出していたからなのでしょう。ずっと見ていたい･･･もっともっとこの舞台でプレーを続けさせてあげたい･･･そう思う試合でした。
　　
そんな私の願いを叶える魔法は、やはりそれほど長くは続きません。相手に追いつかれ、試合の主導権を握られると、一気に押し切られてしまいました。それでも第1セットよりも得点を重ねることができた第2セットでした
　　
打つべき人が打ち、決めるべき人が決める･･･そんな爽快感のある試合ではありませんでした。結果はセットカウント０対２で敗れてしまった試合でした。それでも個々の選手も、そしてチーム全体も大きく成長していたことを実感できる、心が温かくなる素敵な試合でした。敗者とはなってしまった深中男子バレー部の選手たちでしたが、私は心から大きな拍手を贈りました　関東大会という素晴らしい舞台に立つ資格のあるチームだったと、自信を持って言える素晴らしいチームになっていました